観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-
7月5日から東京藝大美術館で展覧会「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-」が開催されます。2014年の3月に開催された「観音の里の祈りとくらし展」の続編ということになりますね。
前回の第1弾の展覧会を訪れたときには、長浜市文化財保護センターの秀平文忠氏によるギャラリートークを拝聴することができました。
その中で特に印象に残っているのが、岡本神社丁野観音堂の十一面観音坐像のお話でした。この十一面観音坐像の調査と展覧会出展に際しては非常に多くのご苦労があったということでした。
まず、文化財保護の観点から調査させてほしいということで、管理されている地域の方との粘り強い交渉をするも、当初、調査もなかなか許可してもらえなかったそうです。
そもそも今までお堂から出たことがない観音様なので、「真っ昼間に外に出すのはとんでもない」、「調査するなら真夜中にしてもらえないか?」というような要望があったということでした。さすがに、夜に調査を行うのは無理だったので妥協案として、地元の公会堂の一室を暗幕で覆って外光が入らないようにし、もちろん外からも見えないようにして調査を行う、ということで承諾を得たそうです。そのために、近隣から暗幕をかき集めてきたというご苦労もあったようです。
また、前回第1弾の展覧会のポスターで使われていた赤後寺の千手観音も、これまで絶対秘仏だったものが、一般でも拝観できるようになったのがここ30年くらいの間だとか。拝観可能にする過程においても、やはり地域の方々の中ではかなりの抵抗もあったといいます。秀平氏は、「それほどの観音様が拝観できるようになっただけでなく、このようにしていま、この東京までお出ましされているというのは本当にすごいことだと思います」とおっしゃっていたのが印象的でした。
前回2014年開催の「観音の里の祈りとくらし展」にて
他にも湖北の方々の信仰の篤さが伝わるエピソードがいろいろ紹介されていて、出展作品それぞれの理解だけでなく、その仏像をお守りしている地域の方々のことに思いを馳せることもできて大変よい展覧会とギャラリートークだったのを憶えています。
来月から開催される第2弾の展覧会でも、岡本神社丁野観音堂の十一面観音坐像が出展されるようですし、個人的に大好きな黒田観音寺の千手観音像が出展されるというのが大変楽しみです。
展覧会詳細は下記リンク先で。
観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-
会期: 2016年7月5日(火)- 8月7日(日)
場所:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室3、4
上で紹介した秀平氏のギャラリートークも予定されているようですね。