千葉・妙楽寺、関東随一の丈六大日如来
房総半島の中央部、睦沢町にある妙楽寺はかつて東国密教の一大拠点であったとされます。妙楽寺周辺の森は千葉県の指定天然記念物となっており、珍しいシダ類などの植物をはじめ多くの鳥類や昆虫類も多く生息しています。そんな大自然の中に建つ妙楽寺には平安後期の作といわれる丈六の大日如来像が伝わっています。
大日如来坐像の開帳は毎年2月第1日曜日ですが、通常でも本堂外陣から格子越しに拝観することが可能です。事前に電話しておくと本堂の照明をつけておいてくださいます。過去2度参拝しましたがいずれも開帳日でない日で、格子越しの拝観でした。2月第1日曜の開帳日にはシャトルバスも運行されて多くの参拝者が訪れるようです。
大日如来坐像(重文, 平安時代, 一木造, 像高279cm)
平安時代後期の作でカヤ材の一木割矧造。像高2.8mの丈六仏で千葉県内の古彫刻の坐像としては最も大きく、東日本においても有数の大きさ。全体的にふくよかで堂々たる重量感がある。平安前期からの一木造の技法を踏襲していて表現も地方的である。
平安時代後期、畿内ではいわゆる定朝様が主流となり、次第に北陸や東北など各地方にも定朝様の仏像が広まっていきます。ただ、関東地方ではこの時代でも中央とのつながりは薄く、奈良時代に国分寺が造られた頃からの古様な様式が依然として受け継がれていたようです。妙楽寺の大日如来も浅い衣の表現などに藤原時代の様式が見られるということですが、顔つきやどっしりとした体格など全体的にはまだまだ古様が感じられます。
ところで、この大日如来坐像には護摩修行で出た灰を固めた高さ15センチ程度の胎内仏が納められていたということですが、この胎内仏が行方不明であるという気になる報道(注1)がありました。その後どうなったのでしょうか…。
本堂には木造不動明王立像1体と木造毘沙門天立像(いずれも千葉県の有形文化財)も安置されています。
妙楽寺(みょうらくじ)
所在地:千葉県長生郡睦沢町妙楽寺500
アクセス: 交通 JR「上総一宮」駅より大多喜行バス「御大日下」下車 徒歩10分
問い合わせ:0475-43-0150
開帳:毎年2月第1日曜(詳細は寺院に確認のこと)※通常は外陣から拝観可能。
公式サイト: http://www.h2.dion.ne.jp/~myoraku/
(注1)重文・大日如来像の胎内仏が不明 元住職「所在話せない」(朝日新聞2013/11/26付)
http://www.asahi.com/articles/TKY201311250462.html