十市町・正覚寺、半丈六の大日如来像

奈良県橿原市十市町の正覚寺阿弥陀堂に安置される半丈六の大日如来坐像です。もともとは少し離れたところにある十市御県坐(とおちのみあがたにます)神社の神宮寺大日堂の本尊でした。

明治初期の神仏分離に伴い、正覚寺に移設され、現在は1981年に建立された阿弥陀堂に正覚寺本尊の阿弥陀如来坐像(室町時代)とともに安置されています。お寺といっても、普段は無住のため、当日は地区の区長さんや地域の管理人の方が対応してくださいました。

正覚寺阿弥陀堂堂内

正覚寺阿弥陀堂堂内

そのほか、平安時代初期の天部形立像と地蔵菩薩立像(共に県指定文化財)が十市町自治会の所有となっていますが、奈良国立博物館に寄託されています。特に地蔵菩薩像はなら仏像館の常設展示でよく展示されますので見覚えのある方も多いでしょう。(堂内写真のパネル参照)

十市町正覚寺 大日如来坐像(県指定文化財, 平安時代末期,像高152.0cm)

十市町正覚寺 大日如来坐像(県指定文化財, 平安時代末期,像高152.0cm)

智拳印を結び、右足を結跏趺坐する金剛界大日如来です。全体的に穏やかな表情で、衣紋の彫りは浅く、典型的な平安時代後期の作という感じがします。橿原市の文化財データによれば、像高152cmということですが、実際にお堂で拝観するともっと大きく感じられました。おそらく無意識のうちによく見慣れた大日如来坐像と比較してしまっていたのだと思います。運慶や快慶ら慶派の大日如来坐像の多くが等身大かそれより小さ目なのでそのスケール感からすると、半丈六像はすごく大きく感じます。

十市町正覚寺 大日如来坐像(県指定文化財, 平安時代末期,像高152.0cm)

十市町正覚寺 大日如来坐像(県指定文化財, 平安時代末期,像高152.0cm)

本来は宝冠を被る姿なのですがお堂の天井にあたってしまうため、残念ながら宝冠は降ろされています。

区長さんや管理の方々のお話からは、この大日如来が町の誇りであることや地域の人々がいかに大事にしてきたかといったことがひしひしと伝わってきました。

正覚寺(しょうかくじ)
所在地:奈良県橿原市十市町1007-1
アクセス:近鉄橿原線「新ノ口」駅下車 徒歩20分
拝観:地区区長が管理しており、拝観には予約が必要です。
拝観料:志納
問い合わせ:橿原市教育委員会 生涯学習部文化財課(0744-47-1315)

参考
木造大日如来坐像 「かしはら探訪ナビ」より
http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_bunkazai/bunkazai/spot/dainichinyorai.html

2014-01-03 | Posted in 仏像, 写真, 奈良No Comments » 

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