広陵町・正楽寺の巨大十一面観音立像
奈良の広陵町の八坂神社の西隣に、2メートルを超す十一面観音立像を安置する正楽寺観音堂があります。普段は無住のお堂で、町内の方々によって管理されています。予約した時間に到着すると既に地元の3人の奥様方がお堂を開けて待っていてくださいました。お堂に入ると鮮やかな扉絵の厨子とまばゆいばかりの観音さまが目に飛び込んできます。そして何よりもその大きさに圧倒されました。
表情は非常におだやかです。
右手に錫杖、左手に水瓶をとる形式の長谷寺式十一面観音立像ですが、もともとは錫杖は持っていなかったように思われます。案内板解説によれば「単調な肉どりや浅く刻んだ衣の表現などから、平安時代末期(十二世紀後半)の制作と考えられる。」ということですが、「一見、藤原風に見えるが、頭・体の肉取りや衣文の彫り方には藤原時代とはやや異なる固さが感じられ、実際の造立は鎌倉時代に入ってのものであろう」(1)という見方もあります。
厨子が少し高いところにあり、しかも蓮華坐の上に立っているため、お顔はこのように下から見上げる形になります。
それにしても、こちらのお堂では仏像のすばらしさもさることながら、対応してくれた地域の奥様方の人柄のよさが印象に残っています。先日のエントリで紹介した十市町・正覚寺と同様に、こちらの観音様も地域の人々皆さんの誇りであるという感じがしました。
拝観予約は広陵町教育委員会へ、原則2週間前までに申し込みが必要です。普段でも厨子は開いていてお堂の外から格子越しに覗くことはできるようです。
正楽寺(しょうらくじ)
所在地: 奈良県北葛城郡広陵町古寺
アクセス:近鉄田原本線箸尾駅から徒歩25分
拝観料:志納
拝観:要予約、広陵町文化財保存課に下記URLの見学申込書を提出して申し込む
http://www.town.koryo.nara.jp/contents_detail.php?frmId=748
問い合わせ:広陵町教育委員会文化財保存課 0745-55-1001(代)
参考文献
[1] 西川杏太郎監修, 仏像を旅する 奈良,至文堂,1991