4/17, 4/18は観心寺・如意輪観音ご開帳
今年もこの時期がやってきました。「仏像好きが死ぬまでに一度は拝んでおくべき仏像」ランキングを作るとしたら確実に上位に入ってくるだろうという、そのくらいの仏像が観心寺本尊の国宝・如意輪観音菩薩坐像だと思います。
仏像の概要
如意輪観音菩薩坐像(国宝, 平安時代前期,木造彩色, 108.8cm)
六臂像にして、手の位置、持物、右膝を立てる坐り方などは如意輪観音儀軌に忠実な標準的な如意輪観音のすがたとして作られている。平安時代初期の密教美術最高傑作。榧の一木造であるが、乾漆を部分的に用いており豊満な肉感表現を効果的にしている。長年、秘仏とされていたため一部補修や如意宝珠などの後補部もあるが、木製透かし彫りの宝冠から銅板製の装飾品まで保存状態が極めてよく、当初の彩色もよく残っている。
拝観記録
念願の観心寺御開帳を拝観したのは今から3年前の2011年。今まで写真では見ていても、実際に拝むのは初めて。やはり、実際のお堂に安置されているところは違いました。広いお堂の中央に置かれたお厨子の中でほほえむ如意輪観音は圧倒的な存在感がありました。この像についてよく言われる、神秘性と官能性というのが、このお堂の全体的な雰囲気の中で一層強調されるような感じがします。右頬に添えられた指となまめかしい表情は、物憂げな雰囲気を醸し出していて、顔のふくよかさや豊満な肉づきなどもこの像が女性をイメージして表現されていることが分かります。この像の発願者である嵯峨天皇皇后・橘嘉智子という人は「風容絶異、手は膝に過ぎ、髪は地に委(した)がう、観る者皆驚く」と伝わる人物です。観心寺の如意輪観音像の官能的な美は、この橘嘉智子をモデルにしたからだともいわれています。橘嘉智子については法華寺の十一面観音立像も光明皇后でなく実は橘嘉智子をモデルにしているという説もあるようですが、いずれにしても観心寺の如意輪観音のすがたから、当時の理想の美人像というものがうかがえるように思いました。
ちなみに、年1回開帳の秘仏マイベスト3は4/17-18観心寺、5/18神呪寺、10/17南円堂です。この3ヶ寺は毎年拝みたいですね。奇しくも日本三大如意輪のうち2つが入りました。特にこの観心寺と南円堂はふたつの開帳が半年間隔でキリがいい感じなので、できれば半年ごとの定例行事にしたいくらいなのですがなかなかうまくいかないです。来年2015年にはまた参拝したいと思っています。
お寺の概要
観心寺の前身の雲心寺は伝承では文武天皇の大宝元年(701年)、役小角によって開かれたといわれています。平安時代、大同3年(808年)に弘法大師空海が同寺の境内に北斗七星を勧請し、弘仁6年(815年)、衆生の除厄のために本尊如意輪観世音菩薩を刻まれ、寺号も観心寺と改めたとされています。空海の弟子・実恵(じちえ)は淳和天皇による伽藍建立の命により、寺院造営を計画し、弟子の真紹(しんしょう)とともに天長4年(827年)より造営工事に着手しました。こうしたことから有名な本尊の如意輪観音菩薩坐像(国宝)もこの時期に真紹によって造像されたと考えられています。本尊の如意輪観音は毎年4月17,18日に開扉。この2日間は全国各地から特に多くの参拝者が訪れます。
拝観データ
観心寺
所在地:大阪府河内長野市寺元475
アクセス:南海高野線及び近鉄長野線「河内長野駅」から南海バス「金剛山ロープウェイ前行」or「石見川行」or「小吹台行」に乗車し、バス停「観心寺」で下車。
※毎年4月17日、18日には観心寺と金剛寺を結ぶ無料シャトルバスが運行されます。ただし河内長野駅では降車のみ。詳細は河内長野市のホームページをご確認ください。2014年の案内はこちら
拝観時間:9時~18時
拝観料:大人300円小人100円※毎年4月17日と18日は本尊御開帳日(午前10時から午後4時まで)のため特別拝観料として700円
※宝物館は年中拝観可
宝物館の地蔵菩薩立像についてはこちらのエントリもご覧ください
公式サイト: http://www.kanshinji.com/index.html
参考文献
[1] 小冊子「観心寺」, 観心寺発行/飛鳥園制作
[2] 井上一稔 編, 日本の美術No.312如意輪観音像・馬頭観音像,至文堂, 1992年
[3] 週刊原寸大日本の仏像No.41観心寺如意輪観音,講談社, 2008年.