購入!日本美術全集7巻「運慶・快慶と中世寺院」

小学館・日本美術全集 第7巻「運慶・快慶と中世寺院」を購入しました。責任編集は「仏像のかたち」の著書で知られる運慶研究の第一人者の山本勉先生です。
これまで運慶作といわれてきた31体に、南円堂四天王および浄瑠璃寺伝来の十二神将の計16体を加えた47体を”運慶作品”として掲載しているほか、快慶やその他の慶派仏師から同時代の善派や院派仏師の作品まで、鎌倉時代~南北朝時代の主要な仏像が豊富なカラー図版とともに紹介されています。
2014-02-01 21.20.15
運慶作の紹介ページでは、このように現・南円堂安置の四天王立像がついに「運慶作」というキャプションとともに北円堂の諸仏と並んで紹介されています。

 興福寺北円堂の弥勒仏坐像と南円堂安置の四天王

興福寺北円堂の弥勒仏坐像と南円堂安置の四天王

現・南円堂安置の四天王の本来の安置場所問題については90年代からいわれてきていましたが、2011年に金沢文庫で行われた講演では山本先生はこの問題について、迷っているというお話しだったと記憶しています

参考:旧ブログ念彼観音力のエントリ
2011年2月 山本勉先生「三体の大日如来坐像」金沢文庫冬期特別講座(その1)
http://ameblo.jp/avalokitezvara/entry-10838275117.html
山本勉先生「三体の大日如来像」金沢文庫冬期特別講座(その2)
http://ameblo.jp/avalokitezvara/entry-10838275117.html

今回の日本美術全集では南円堂四天王像も運慶作として紹介されるに至ったようですが、先日、行われた刊行記念の講演会では
・北円堂諸像と現南円堂四天王像の用材が共にカツラ材
・「興福寺曼荼羅図」に描かれている北円堂四天王と現南円堂像との類似
・四天王の身色と貞慶との関係
・現南円堂四天王台座の八角框と北円堂弥勒三尊台座八角框、北円堂の八角須弥壇との形の符号
の4点が根拠として説明されたそうです。

参考:『日本美術全集』刊行記念企画 第5弾 文化講演会「運慶のまなざし-全作品47体と眼の表現」 (弐代目・青い日記帳ブログより)
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3509

図版が非常にきれいなのはもちろんですが、読み物も充実しています。
山本勉先生の「運慶と快慶」「中世前期の仏師と仏像」、奥健夫先生の「生身信仰と鎌倉彫刻」、上野勝久先生「中世仏堂の空間と様式―寺院建築の重層性」などの論考、寺島典人先生の「仏像の耳と仏師―快慶・行快師弟がつくった耳」のコラムも非常におもしろいです。

「仏像の耳と仏師―快慶・行快師弟がつくった耳」では、快慶によって造られた耳とその弟子・行快によって造られた耳の作風を検証しながら、快慶工房での造像の実態を探っています。文献上の記録ではなく、仏像に残された仏師の癖から、工房製作の実際および師匠と弟子での技術の伝承といったことがどうやって行われていたのかなど、いろいろなことが想像できて非常に興味深いところでした。論文ではなくコラムなので私のような専門外の人間でも非常に読みやすいのもよかったです。

このように最新の運慶研究成果が反映されて、図版も読み物も充実した最新の美術全集。今後、半世紀に渡って残っていく本だと思いますし、オススメです。

下記の公式サイトで もくじや概要の紹介の他、試し読みもできます
http://www.shogakukan.co.jp/pr/nichibi/detail/detail_07.html
試し読みできるところで、山本勉先生の「はじめに」の文章も注目です。
この「はじめに」を読むと、今回の全集で47体を運慶作と紹介したところに山本先生の意気込み、強い意志のようなものを感じたのでした。


2014-02-08 | Posted in 仏像, 書籍2 Comments » 

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コメント2件

 迦楼馬 | 2014.02.08 14:26

はじめまして。
いつも楽しく読ませていただいております。
購入しようか迷っていたのですがタイガースカフェさんの記事を読んで購入する事を決意しました( ̄^ ̄)ゞ
届くのが楽しみです。

 tigerscafe | 2014.02.08 14:57

迦楼馬さん、コメントありがとうございます。当初は私も高額なので購入を迷っていましたが今は買って良かったと思っています。

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